水泳で起こる肩の違和感とは?

2026/09/15 18:15 トレーニングコラム
こんにちは。
浜松市・豊橋市のパーソナルトレーニングジム
S-pace【エスペース】です。
今回のコラムは
「水泳で起こる肩の違和感とは?」
についてです。
水泳は、膝や腰などの関節に過度な負担をかけずに全身をくまなく鍛えられる「最高の有酸素運動」として、
老若男女問わず大人気のスポーツです。
しかし、水泳を熱心に行っているスイマー(マスターズスイマーや健康志向のフィットネススイマー)を
最も悩ませる部位があります。
それが「肩」です。
水泳中に肩に「ズキッ」「ピキッ」とした違和感や痛みを覚えたとき、それを「ただの筋肉痛」と放置して泳ぎ続けると、
腕が上がらなくなるほどの深刻な障害へ進行してしまいます。
今回の内容では、水泳によって肩に違和感が生じる解剖学的なメカニズム、
いわゆる「スイマーズショルダー」の正体と、痛みを予防して長く水泳を楽しむための
コンディショニング法をご紹介していきます。
1:なぜ水泳で「肩」が傷つきやすいのか?(解剖学的アプローチ)

人間の肩関節(肩甲上腕関節)は、体にあるすべての関節の中で
「最も可動域(動く範囲)が広く、最も不安定な構造」をしています。
例えるなら、肩関節は「浅いお皿の上に乗った大きなボール」のような状態です。
この不安定なボールが落ちないように、周りにある小さな筋肉群(インナーマッスル/回転筋腱板)や、
靭帯、関節包といった組織が必死に繋ぎ止めています。
- 水泳における「肩の異常な回転数」
水泳のクロールやバタフライという泳ぎは、腕を大きくぐるぐると回し続ける運動です。
・クロールで25メートル泳ぐのに、約15回〜20回腕を回すとします。
・1キロ泳げば、なんと約600回〜800回も肩関節を極限まで回すことになります。
このように、もともと構造的に不安定な肩関節に対して、
何千回という膨大な繰り返しの摩擦と負荷がかかり続けるスポーツは、水泳のほかにありません。
2:肩の痛みの正体「スイマーズショルダー」とは?

水泳による肩のトラブルは、総称して「スイマーズショルダー(水泳肩)」と呼ばれます。
医学的には、主に以下の2つの病態が絡み合って起きています。
- 肩関節インピンジメント症候群(挟み込み障害)
「インピンジメント」とは「衝突・挟み込み」という意味です。
腕を前に伸ばして水をつかみ(キャッチ)、後ろへかき出す(プル)、
そして腕を水の上に持ち上げて前に戻す(リカバリー)という一連の動作の中で、
肩の骨(肩峰)と、腕の骨(大結節)の隙間が非常に狭くなります。
この狭い隙間で、間を通っているインナーマッスルの腱(棘上筋腱)や、
クッションの役割をする袋(肩峰下滑液包)が、「カツンと何千回も挟み込まれて擦れ合う」ことで
激しい炎症を起こします。
これがスイマーズショルダーの代表格です。
- インナーマッスルの疲労とアウターマッスルの暴走
水泳では、背中や胸の大きな筋肉(広背筋や大胸筋といったアウターマッスル)を使って強い推進力を生み出します。
しかし、長時間泳いで肩の深いところにある小さな筋肉(インナーマッスル)が疲れてくると、
肩関節を正しい位置に引き寄せて固定する力が失われます。
すると、アウターマッスルの強い力によって腕の骨が上へ引っ張り上げられ、
ますます骨同士の挟み込み(インピンジメント)が激しくなるという悪循環に陥ります。
3:肩に違和感を発生させる「フォームと体の歪み」

同じ練習量でも、肩を痛める人と痛めない人がいます。
その違いはどこにあるのでしょうか。
- 肩甲骨の柔軟性不足(ガチガチの背中)
腕を回すとき、実は腕の骨だけでなく「肩甲骨(けんこうこつ)」が一緒に滑らかに動く必要があります。
デスクワークなどで猫背になり、肩甲骨が背中に張り付いて動かなくなっていると、
腕の骨だけで無理やり回そうとするため、肩関節に異常な負担がかかります。
- 「ローリング」の不足
クロールや背泳ぎでは、体を左右に軸を中心に適度に傾ける「ローリング」という動作が必要です。
体が平らなまま(ローリングなしで)腕だけを高く持ち上げようとすると、肩関節の骨同士が物理的に強く激突します。
- 水をかく位置が「体の中心線」を越えている(オーバークロス)
手を入水(入水)させるとき、自分の体の中心線(センターライン)を越えて
反対側に手を突っ込むフォーム(過度な内転)をしていると、肩のインナーマッスルが最も絞り上げられ、
挟み込まれやすい危険な角度に入ってしまいます。
4:違和感を察知したときの「セルフケアと応急処置」
プールから上がったあと、肩に「重だるさ」や「ピキッとした違和感」を感じたときの正しい対応法です。
・すぐに「冷やす(アイシング)」 泳いだ直後に肩の奥が熱持っていたり、痛んだりする場合は、
内部で摩擦による炎症が起きています。
すぐに氷のうや保冷剤で肩の前後を15分ほど冷やし、炎症の拡大を食い止めましょう。
・無理な「ガンガン伸ばすストレッチ」はNG 痛む肩を「痛いのを我慢して力任せにグルグル回す」
「強く引っ張る」のは逆効果です。
炎症を起こして傷ついた組織をさらに引き裂くことになります。
痛みのない範囲で優しく動かす程度にとどめましょう。
・痛みがあるときの「フォーム・種目の変更」 どうしても泳ぎたいときは、
最も肩への負担が大きい「バタフライ」や「平泳ぎ(の手の動作)」、
手のひらに負荷をかける「パドル」の使用を直ちに中止してください。
肩への負担が少ないビート板キックや、ゆったりとした背泳ぎに切り替えましょう。
5:スイマーズショルダーを予防する「肩甲骨&インナー強化」

痛みを予防し、水を力強くかける「しなやかな肩」を作るための陸上コンディショニング(陸トレ)メニューです。
①肩甲骨の「はがし」ストレッチ(猫背改善)
・四つん両手を前方の床に伸ばし、胸を床に近づけるようにして背中と肩甲骨の間の筋肉をしっかり伸ばします。
・息を吐きながら30秒キープ。
肩甲骨がスムーズに寄ったり開いたりする可動域を取り戻します。
② インナーマッスルのチューブトレーニング(チューブ・ローテーション)
肩の奥にある小さな筋肉(棘下筋や小円筋)を狙い撃ちで鍛えます。
1.トレーニング用のゴムチューブの端をドアノブなどに固定します。
2.肘を90度に曲げて脇腹に固定し、反対の手でチューブを持ちます。
3.肘の位置を絶対に動かさないようにしながら、手首を外側へとゆっくり開いていきます(外旋運動)。
4.15回〜20回×2セット、軽い負荷でじわじわと効かせるのがポイントです。
③ フォームの微調整(入水位置の見直し)
プールに入ったら、手が水に入るとき(キャッチ時)の位置を、
「自分の肩の延長線上(いつもより少し外側)」にするよう意識してみてください。
これだけで肩の挟み込み角度が回避され、驚くほど肩の引っ掛かり感が消えることがあります。
まとめ
水泳は、正しく行えば生涯にわたってあなたの心身を健康に保ってくれる最高のパートナーです。
しかし、「肩の違和感」を根性で無視して泳ぎ続けると、大好きな水泳を何ヶ月も休まざるを得なくなってしまいます。
肩の違和感は、あなたの体が発している「フォームを見直して」「少し肩甲骨をほぐして」という親切な警告です。
自分の体の声に耳を傾け、適切な陸上ケアとフォームの修正を行いながら、
水の中を滑るような気持ち良いスイミングを長く楽しんでいきましょう。
水泳は全身運動として最適ですが、繰り返し腕を回す動作で
「スイマーズショルダー(肩障害)」を引き起こすことがあります。
無理なフォームを避け、肩甲骨周りのストレッチや補強で予防し、長く快適に泳ぎ続けましょう。
浜松市(鴨江・葵東)、豊橋市にあるS-paceでは経験豊富なパーソナルトレーナーがおります。
今回ご紹介したもの以外にも腰痛予防のお尻のストレッチや腹圧向上のトレーニング、
肩コリ予防の運動など様々な運動をご提供できます。
ご不安や、ご質問があればS-pace一同お待ちしておりますのでお気軽にご連絡ください。
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